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JIKKEN NOTE

商品アイデア

デスクワーカーのための作業着開発

Relax Inspiration Shirt BUNGOU

INDEX

0からオリジナルのシャツをつくりました

『自分の好きから始まる情熱が、誰かの心に刺さり共感されブランド価値を生む』というケシキの信念のもと、まずはオリジナルシャツ制作を題材に挑んでみました。
ここ(実験ノート)では、商品・サービスアイディアから社会課題解決のためのアクションまで、様々なアイディアを模索したり、実際にやってみる実験の場にしたいと考えています。ここで蓄積されたアイディアやアクションの知見を、これからケシキを必要としてくださる方々に活かしていければ嬉しいです。

記念すべき第1回目の投稿は、バーーーンと時間や予算を投資し、実際に商品をつくって販売してみようと奮い立ちました。具体的には、長袖シャツを型から完全オリジナルで製作することに!…完全に手探りの状態からのスタートです。

drawing plan1
構想マップを作成し、自分が最もワクワクした『シャツをつくること』に決めた

なぜシャツなのか?

無類のシャツ好きを自負する私。シャツって奥が深いんです。ボタンの種類、間隔、襟の形やカフスの長さ、全体のシルエット、生地、縫い方などちょっとした違いで大きく印象が変わり、こだわりを感じるシャツに出会うとグッと心を鷲掴みにされます。大学生の時に買った、一つ一つ違うデザインのボタンが20個くらい付いているリメイクシャツは今でもお気に入りの一枚。ボタンの大きさも違うから、ボタンホールの大きさも一つ一つ異なる。そこの変態性に惹かれ一目惚れしました。

割とオールシーズン着れるのも好きな理由。暖かい日はオープンシャツにして腕まくりしたり。 そんなシャツラバーの私は、いつの日かオリジナルでシャツが作りたいと妄想するようになりました。

drawing plan2
シャツのザックリした構想や利用シーンなどのアイディア出し

市場調査→コンセプトづくり

そんなこんなでシャツと共に生きてきましたが、一方で日常を通してシャツに対する不満を持つことも多かったんです。それは、『長時間着ていると疲れる!』と言うことでした。デザイン会社での労働時間で、忙しい時は3日間会社に泊まりこみで仕事していたこともあった私。
夜中、椅子を並べて寝るとき、シャツの肩まわりや脇らへんが窮屈に感じてきたり、襟が擦れて首が赤くなってしまうこともよくありました。
なので、着心地が良くてデザインやシルエットがカッコいいものがないかなー?とずっと探してました。ありそうでなかなか無いんですよね。

リラックスシャツという名前のシャツを片っぱしから試着したり、買ったりしましたが、ファッション性の高いブランドのリラックスシャツはだいたいビックシルエットで素材が重たくて肩が重くなるし、軽くてフワッとしてる普段着シャツはパジャマ専門店が出しているが、ギリギリ近所のコンビニには着ていけるかなーというデザイン性でした。

つまり、家と外の両方で心地よく着られる中間のシャツが欲しかった!…そこで、家外シャツに焦点当てることにしたんです。
しかし、ただ家外シャツと売り出してもザックリしすぎていてターゲットも予測しづらい。もう少しターゲットを絞ったコンセプトに突き詰める必要があると自問自答しました。 自分の『好き!ワクワクすること!』から始まった企画なので、改めて自分が感じている日々のシャツライフを書き出してみました。シャツに対する不便、不満、希望を以下にまとめてリスト化します。

  • ・長時間シャツを着ていると節々が痛くなってくる。
  • ・リモートワーク時、気合いをいれるためシャツを着るが、しばらく経つと楽な服装に着替えたくなる。
  • ・パジャマシャツは楽だけど、気分が上がらない。
  • ・昼寝をするので、シャツのままリラックスしたい。
  • ・午後は気分を変えてカフェで仕事するので、そのままの格好で出かけたい
  • ・リラックスしつつ仕事に集中できるワークシャツが欲しい
  • ・吸水性が高く、体臭抑える効果があると尚良い。

かなりワガママな要望が出てきましたね。自分で自分の首を締めるようですが、これらをまるっと解決する夢のようなシャツが出来たら、単純に自分が即買いすると思いました。

コンセプト、デザイン決定

コンセプトは、デスクワーカーのための作業着ということに決定。そうと決まればデザイン開発に進みます。

デスクワーカーにとって心地良い作業着とはどんなデザインでしょうか。
人間は加齢によって副交感神経が低下しやすくなり、男性は30歳を境に、女性は40歳を境に副交感神経のレベルが大きく下がるという研究結果が明らかになっているそうです。
交感神経が優位に働いてる状態が続くと筋肉に血液がいかなくなるため、疲れやすくなり脳の血流も悪くなるので、集中力や判断力も欠けてきます。そうすると仕事もうまくいかなくなり、ストレスがたまりネガティブな心理状態になってくる。何か全部うまくいかないなぁ、という負のスパイラルにはまってしまうのです。

ちなみに、交感神経と副交感神経が両方高まったときに超集中のゾーンに入るそうです。アスリートの方は常に意識しているのだとか。脳の使い方までプロなんですね。

このように身体の仕組みを理解した上で、最適な素材を見つけました。
それは『和紙』です。和紙と言っても繊維状にして編んだ丈夫な生地で、肌触りのいい柔らかい着心地、吸水性や体臭を抑える機能性がリラックス効果を生み、副交感神経をアップすることに貢献します。

次はデザインです。ここでも私の『好き』とリンクするものに。

デザインモチーフに作文用紙を選びました。
小学生の時、強制的に創造性を求められた連続した升目のアイツ。読書感想文など何枚書いたか友人と張り合ったものです。中学生のときには、ポエムなんかも書いたりして、ほろ苦いような甘酸っぱいような作文用紙。

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創造性を求められた懐かしの作文用紙

そんな創造性の象徴とも言える作文用紙をモチーフにシャツをつくります。

名前はRelax Inspilation Shirt BUNGOU
和紙生地の心地よさからリラックスして文豪のごとくインスピレーションが降りてくるシャツ。和紙の『紙』と『作文用紙』という親和性もありユーモアを感じます。

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コンセプトとデザインスケッチ

パートナー探し、素材選び

ここからは、いよいよ製品化に向けて動きます。縫製会社やパタンナーに何もコネクションが無いので、まずは周りの知人を頼って紹介してくれないか聞き回りました。クリエイティブ関係の人が周りに多いので誰かいるだろうと思っていたが、ほとんど知り合いがおらず、いたとしても紹介してもらえず「シャツを作るって急に言い出したけど、大丈夫?」と周りまわって耳に入ってくるような反応で…
初っ端からの挫折でしばらく落ち込みましたが、ハイボールを浴びるように飲み、(お酒弱いのでロング1缶)ブルーハーツの「人にやさしく」を聴きながら、シャツをつくる手段を探しました。 そこで目に止まったのが、小ロットを受けつけてくれる縫製会社の紹介サイト。これだ!と思いパタンナーが在籍する縫製会社に片っ端から連絡しました。
その中で、「面白そうなコンセプトですね!」と言ってくれた、株式会社 和興さんと出会いました。

ご担当が偶然同い年で、とても話しやすく気さくな方でした。
そこで聞いたのが、ニット生地が得意な会社で布帛素材(いわゆる普通の伸びない生地)は出来るが得意ではないとのこと。
ニット生地はカットソーと呼ばれ伸縮性のあるものでTシャツなどに使われる生地である。
和興さんは、オリジナルの生地も開発されていて、その生地がコンセプトにどハマりしたんです。
日本で唯一の和紙100%ニット生地を作っているとのこと!いろいろ説明していただき、もうこれだ!!と決めました。求めていた和紙生地で、しかも伸縮性もあるだなんて最高じゃないか!(和紙ニット生地のことは販売ページに詳細を記載しています)

そうして、ようやくスタートラインにたどり着きました。

第1サンプルでハイテンションからの右往左往

後日、いろいろ集めた資料や、原型となる参考のシャツをいくつか持ってデザイン画をプレゼンし、第1サンプルを依頼。
(作文用紙モチーフは真ん中の【|部分のみを抽出することになりました)

1ヶ月後、第1サンプルの出来上がったということで、ケシキのプロジェクトマネージャーでもある妻にも同行してもらい見に行きました。
最初、サンプルを見た時は「うおーーっっ!」と歓喜。
お、お、オリジナルシャツが出来上がっているという感動に震えました!
良い!とてもいい!!
と興奮しサンプルを持ち帰りました。興奮から落ち着き、家で改めて着てみると、なぜかパッとしない印象で、その原因について妻と議論を重ねました。

結果、鬼のような赤字の量になってしまい、和興さんは違う意味で震えたと思います…

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ビックシルエットで楽に着れるようにしたのだが、なんかパジャマっぽい印象
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この量の赤字があと4枚あります(我ながら怖い!)

ぶち当たる壁、夫婦喧嘩勃発!

鬼の赤字を反映してもらった第2サンプルは、要望通りすごく改善されていい感じになっていましたが、家に帰って着てみるとまた印象が変わり、パジャマ感が抜け切れていない感じがして、和紙ニットの柔らかさにより意図していない変なドレープがついてしまい、シルエットが綺麗に出ない。

ここで改めて参考にしたシャツと比べてみると、ドレープまで計算して生地を選定していることに気づきました。ビックシルエットシャツが重い生地を使っているのは、重さで生地を伸ばしシルエットを綺麗にするためでした。(プロは凄い!)そもそもパジャマもそんなにニット生地を使ってないのに、パジャマのようなビックシルエットだとパジャマよりもパジャマっぽい仕上がりになるのは当然だったのです。

また、作文用紙モチーフのディティールなどで、妻と意見が割れて議論が白熱し喧嘩になってしまいました。(私が試着して妻に襟元を直してもらう時、若干胸ぐら掴まれたような勢いと殺気を感じたのも今では良い思い出です笑。それほど真剣に考えてくれていた妻に猛烈感謝)

そんなこんなで、明確な問題点が見えてきて、第1サンプルよりも大量の赤字を書き込み戻しました…和興さんはしばらく放心状態だったと思います。

sample2_akaji
第2サンプルの赤字。別紙A〜Iまであります。。。(こんな赤字書くやつ絶対モテない!)

恐怖!膨れ上がる原価

しばらくして、第3サンプルがあがってきて家で試着すると、かなり良くなっていたのですが、まだパジャマっぽさが残り、また和紙ニット生地の柔らかさが仇となり、ところどころ生地が引っ張られて良いシルエットが出ません。

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第3サンプル

そもそも、和紙ニット生地でシャツを作るならピタッとしたドレスシャツの方が良いんじゃないか、もっと言うとこの生地でシャツを作れないんじゃないだろうかと考え始めてしまいました。妻や和興さんにも相談しながらも、どんよりと1週間悩み続けました。

この時、赤字部分を改善するのに、ひとつひとつ工程が増えるため原価がどんどん膨れ上がってきたのも悩みでした。小ロットだったためかなり痛かった。

原点回帰による大逆転

普通の綿生地に変更することも含み、悩みに悩んだ挙句、初心に返りコンセプト通りに進めることを決意。
第4サンプルをつくる時間もなく、また原価も上がってしまうので、頭の中でシュミレーションしたものを和興さんのパタンナーの方と密に連絡を取らせていただき議論を重ねました。
そして量産に向けてエイヤッ!と進めることに。(細部の細部までこだわりにお付き合い頂いた和興さんに本当に感謝です)

あとはなるようになれ!と量産を待つこと1ヶ月後、仕上がりを見てみたら、、、なんだコレ、、、めちゃくちゃいい!!!!!

すべての懸念点が解決されていて、クオリティが何倍にも増していました!

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カッコいい!
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着心地めっちゃいい!!
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欲しい!!!

ということで、これをきっかけにブランド化することになったDesk Warksの第1段プロダクトRelax Inspilation Shirt BUNGOUが完成しました。
原価ギリギリで限定販売いたします。

商品写真、詳しい説明を見たい方はこちらをクリック

またケシキでは、一緒に商品開発をしてくれるアーティストやクラフトマンや企業を募集しています。補助金に強いチーム体制もありますので、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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